戦略総務とは?概要と注意点、取り組みのメリットをわかりやすく解説

2025/2/27

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近年注目を集めている戦略総務を実現するためには、社内全体での認識共有、ならびに福利厚生制度の活用が欠かせません。健康経営をはじめ、従業員の能力開発、ワークライフバランスといった各種具体事例を交えながら詳しく紹介します。人事戦略や組織改革に課題を感じている経営者さま・人事総務ご担当者さまはぜひご参考になさってください。

戦略総務とは

戦略総務とは、従来の「縁の下の力持ち」を思わせるような総務業務に加え、経営戦略の視点を持って企業の成長に貢献する、新たな総務部門のありかたのこと。企業の持続的な成長と発展、そして従業員一人ひとりの能力最大化を図り企業価値向上に貢献することこそが、戦略総務の真の目的といえます。

従来の総務との違い

従来の総務は、社員が働きやすい環境を整える裏方的存在として人事・労務・経理・法務・庶務など幅広い業務をこなすルーティンワークが中心でした。しかし変化の激しい現代においては、企業が競争力を維持・強化していくためにも、従来型の総務の枠を超え、より経営戦略的な視点を持つ戦略総務への転換が求められています。

●従来の総務

【主な役割】人事・労務・経理・法務・庶務など、幅広い業務を効率的に行う
【視点】コスト削減や業務効率化などを行う、どちらかというと「守りの視点」
【業務内容】ルーティンワークが中心
【求められるスキル】事務処理能力、コミュニケーション能力など

●戦略総務のありかた

【主な役割】経営戦略に基づき、企業の課題解決や成長に貢献する
【視点】企業価値向上や競争力強化などを行う「攻めの視点」
【業務内容】課題発見・分析、戦略立案・実行など、より高度な業務
【求められるスキル】経営に関する知識、分析力、企画力、提案力など

戦略総務に求められる役割

企業の持続的な成長を支えるためには以下の役割が求められます。これらの役割をまっとうするためには、従来の総務のように幅広い業務知識はもちろんのこと、経営に関する知識や論理的思考力、コミュニケーション能力などの高いレベルのスキルが求められます。

【経営戦略のパートナー】経営層と連携し、経営戦略を理解したうえで、それを実現するための具体的な施策を立案・実行します。
【組織風土改革の推進者】企業理念やビジョンを共有し、従業員のエンゲージメントやモチベーションを高めるための組織文化を構築します。
【働き方改革の推進者】生産性向上やワークライフバランスの実現など、従業員が最大限能力を発揮できるような働き方を推進します。
【コーポレートブランドの向上】企業理念やビジョンを体現する魅力的な職場環境を構築し、企業価値向上に貢献します。

戦略総務のメリット・効果

福利厚生の社食パンを仕事中に食べる様子

企業にとってのメリット

●業務生産性向上

戦略総務の一環として従業員が働きやすい環境を整えることで、生産性の向上に貢献します。たとえば柔軟な働き方を導入することで、集中力やモチベーションを維持しやすくなり、結果的に業務効率や成果の向上につながります。またITツールを導入し業務を効率化することで、従業員がより創造的な仕事に集中できる環境を作ることも可能です。

●人材採用力強化

近年ではワークライフバランスを重視する求職者が増えているため、総務発信で柔軟な働き方や充実した休暇制度を導入することで、企業の魅力を高めることができます。従業員のスキルアップを支援する制度を充実させることも、成長意欲の高い人材にとって魅力的に見えることでしょう。企業は自社の理念やビジョンに合った福利厚生を充実させることで、採用競争力を高めることができます。

●企業価値・社会的イメージ向上

従業員満足度の高い企業は、顧客満足度やブランドイメージの向上にもつながり、結果的に企業価値向上効果を得ることができます。またCSR活動(企業の社会的責任)の一環として、従業員の働きがいを高める取り組みや地域社会への貢献活動などを積極的に行うことで、企業の社会的責任を果たすと同時に企業価値向上につなげることができます。投資家にとっても従業員満足度の高さは、企業の長期的な成長可能性を評価するうえで重要な指標となります。

従業員にとってのメリット

●モチベーション向上

総務の働きかけにより実現した、魅力的な労働環境や充実した福利厚生は、従業員のモチベーション向上に大きく貢献します。たとえば柔軟な働き方を導入することで、従業員は仕事とプライベートの時間調整がしやすくなり、ストレス軽減やワークライフバランスの充実を実現できます。またスキルアップ支援制度を利用することで、自身の成長を実感でき、仕事に対するモチベーション向上につながります。従業員が安心して長く働ける環境を提供することは、企業にとって重要な課題と言えるでしょう。

●ワークライフバランスの充実

仕事とプライベートの調和は従業員の幸福度を高めるうえで非常に重要です。柔軟な働き方や休暇制度の充実により、従業員は自分の時間を確保しやすくなり、家族や趣味などの仕事以外の時間を充実させることができます。また、企業が育児や介護に関する支援制度を導入することで、従業員は仕事と家庭の両立がしやすくなり、安心して働き続けることができます。従業員が仕事以外の時間を充実させることで、リフレッシュ効果や新たな発想を生み出すことにも繋がり、結果的に仕事のパフォーマンス向上にも期待できます。

●スキルアップ

企業が提供する研修制度や資格取得支援制度は、従業員のスキルアップを促進し、キャリアアップの機会を広げます。従業員は自身のスキルや知識を高めることで、より責任のある仕事に挑戦したり、専門性を高めてキャリアアップを目指したりと活躍の幅が広がります。また自己啓発支援制度を利用することで、従業員は自身の興味関心のある分野を学ぶことができ、自己成長を実感しながら仕事に取り組むことができるでしょう。企業は従業員のスキルアップを支援することで、人材育成と企業成長を同時に実現できるのです。

戦略総務のデメリット・注意点

福利厚生のお菓子を業務デスクに広げる従業員

従業員のニーズを把握・分析する

戦略総務の取り組みとして福利厚生制度を改善・新規設計するためには、従業員のニーズを的確に把握することが不可欠です。現状分析に基づき、従業員が本当に求めている制度を導入することで、満足度向上と定着率向上に繋げることができます。

●ニーズ調査の実施

【アンケート調査】従業員の属性や価値観に合わせた質問項目を設定し、自由記述欄を設けることで、より詳細なニーズを把握します。回答しやすい環境を作ることも重要です。
【ヒアリング調査】アンケートでは得られない生の声を収集するために、部署や役職、年齢層などを考慮して対象者を抽出し、個別またはグループでのヒアリングを実施します。
【意見交換会】福利厚生に関するテーマを設定し、従業員同士が自由に意見交換できる場を設けます。活発な議論を促進するために、ファシリテーターを置くことも有効です。

●分析と活用

収集したデータは、属性や雇用形態別に分析し、傾向や課題を明確化します。分析結果に基づき従業員が求める制度の優先順位をつけ、費用対効果を考慮しながら導入計画に反映させます。定期的な見直しを行い、変化するニーズに対応することも重要です。

費用対効果・投資対効果を検証する

積極的な戦略総務アクションとしての福利厚生制度の導入は、もちろん企業にとってコスト増加にもつながるため、導入前に費用対効果を慎重に検証する必要があります。費用対効果の高い制度設計を行うことで、企業の経営状況を圧迫することなく従業員満足度向上を目指せます。

●費用対効果の算出

福利厚生制度の導入にかかる費用と、導入によって得られる効果を定量的に算出して比較検討します。費用面では制度の導入・運用コストだけでなく、税金や社会保険料の増加なども考慮する必要があります。効果面では、生産性向上、採用活動における応募者増加、離職率低下など、数値化できる指標を設定することが重要です。

●投資対効果の高い制度設計

費用対効果の分析結果をもとに、より効果的な制度設計を行います。たとえば従業員満足度が高いものの利用率が低い制度があれば、利用促進のための施策を検討します。また複数の制度を組み合わせることで、相乗効果を狙うことも可能です。費用対効果を定期的に検証し、必要に応じて制度の見直しや改善を行いましょう。

戦略総務の取り組み事例

コーヒー・お菓子・手帳が置かれたテーブル

企業全体で行う健康経営

健康経営とは、従業員の健康増進を経営的な視点から捉え、戦略的に取り組むこと。従業員の健康は企業の生産性や業績に大きく影響するものであり、戦略総務の取り組みの中でも極めて有効的なもののひとつです。具体的な取り組みとしては以下のようなものがあります。

●健康診断・医療費補助

健康診断の実施や医療費補助は、従業員の健康管理を支援する基本的な福利厚生です。定期的な健康チェックや病気の早期発見・治療を促進することで、従業員の健康維持と医療費負担の軽減を図ります。具体的には以下などが挙げられます。

・法定健診項目に加え、オプション検査を充実させる
・人間ドックや脳ドックなどの費用補助を行う
・インフルエンザ予防接種の費用負担

企業によっては、健康診断の結果に基づいた健康相談や保健指導などのサポート体制を整えている場合もあります。これらの取り組みは、従業員の健康意識向上と健康的なライフスタイルの形成を促進する効果も期待できます。健康診断の結果が特に優れている者や、禁煙成功者になんらかの報酬を与えるインセンティブ制度もおすすめです。

●メンタルヘルス対策

近年、仕事上のストレスや人間関係などによるメンタルヘルスの問題が増加しており、企業における重要な課題となっています。従業員の心の健康を維持・増進し、メンタルヘルスケアの必要性や知識を普及啓発するために以下のような取り組みを実施することで、従業員が安心して仕事に取り組める環境づくりを行いましょう。休職や復職に関するサポート体制を整備することも大切です。

・ストレスチェックの実施
・産業医やカウンセラーによる相談窓口の設置
・メンタルヘルスに関する研修の実施

●運動機会の提供

運動不足の解消は、生活習慣病予防やストレス軽減に効果的です。従業員が運動に取り組みやすい環境を提供するために、以下のような施策を導入するとよいでしょう。従業員が運動を楽しむための部活動やサークル活動を支援することも効果的です。これらの取り組みは従業員の健康増進だけでなく、コミュニケーション活性化やストレス発散にもつながります。

・社内フィットネスジムの設置
・スポーツクラブとの法人契約
・運動習慣化アプリの導入
・社内運動イベントの開催(ウォーキング大会やヨガ教室など)

●食事補助を通じた健康促進

健康促進にあたり、従業員の食生活の改善は大きな効果をもたらします。栄養バランスのとれた食事・お弁当・お惣菜などを格安で食べられるようになったり、出社後に食べられるパンやおにぎりを提供することで朝食欠食を防止したりといった効果が見込める、以下のような食事補助の取り組みがおすすめです。

・社員食堂やオフィスコンビニの導入
・朝食代わりになる軽食の提供
・体にいい間食や置き菓子の提供

従業員が健康を害しやすいスナック菓子やジャンクフードを頻繁に食べているようであれば、添加物やカロリーを抑えたヘルシーな間食・置き菓子を提供するのもよいでしょう。

研修制度・資格取得支援による従業員の能力開発

従業員の能力開発は企業の競争力強化に不可欠といっても過言ではありません。従業員のスキルアップを支援し、自ら成長を実感できるような充実した研修制度や自己啓発支援を提供することで、モチベーション向上と企業の成長を同時に実現することができます。

●研修制度の充実

従業員のスキルアップやキャリアアップを支援するために、総務部が中心となってさまざまな研修制度を導入する必要があります。階層別研修・職種別研修・スキルアップ研修など、従業員の成長段階やキャリアプランに応じた研修プログラムを提供することで、能力開発を効果的に促進します。効果的な研修制度の事例としては以下などが挙げられます。

【新入社員研修】ビジネスマナー、社内システム、企業理念などを習得
【階層別研修】主任、係長、課長など、それぞれの役職に必要な知識やスキルを習得
【語学研修】グローバル化に対応するための語学力向上
【資格取得支援】業務に必要な資格取得を支援
【職種別研修】営業研修、技術研修、事務研修など、それぞれの職種に必要なスキルを習得するための研修を実施する。
【テーマ別研修】リーダーシップ研修、コミュニケーション研修、問題解決研修など、特定のテーマに特化した研修を実施する。

●資格取得支援

業務に必要な資格取得を支援することで、従業員のスキルアップとモチベーション向上を図ります。資格取得にかかる費用を補助する制度や、資格取得のための休暇制度を設けるなど、従業員の資格取得を積極的に支援することで人材育成を促進します。資格取得は従業員の自信やモチベーション向上にもつながり、企業の競争力強化にも貢献します。

●自己啓発支援

従業員の自主的な学習意欲を高めるために、書籍購入やセミナー参加費用の補助など、自己啓発を支援する制度を導入する企業も増えています。従業員が自ら学び、成長できる環境を提供することで、従業員の能力開発を促進します。従業員の自主性を尊重し、多様な学習機会を提供することが重要です。

ワークライフバランスの充実化

仕事とプライベートの調和は従業員のモチベーションや生産性に大きく影響します。柔軟な働き方や休暇制度の充実など、従業員が仕事とプライベートを両立しやすい環境を提供することで、社員満足度を高め、優秀な人材の確保と定着、離職率低下につなげます。

●柔軟な働き方

テレワークやフレックスタイム制など、従業員が時間や場所にとらわれずに働ける制度を導入することで、仕事とプライベートの両立を支援します。柔軟な働き方は従業員のワークライフバランス改善だけでなく、生産性向上や優秀な人材の確保にも効果が期待できることでしょう。具体的な制度としては以下などが挙げられます。従業員の多様なニーズに対応できるよう、柔軟な働き方に関する制度を整備することが重要です。

【テレワーク制度】在宅勤務やサテライトオフィス勤務など、場所にとらわれない働き方を可能にする。
【フレックスタイム制】始業・終業時間を自由に設定できる制度を導入する。
【時短勤務制度】育児や介護などの理由で、勤務時間を短縮できる制度を導入する。

●休暇制度の充実

従業員が休暇を取得しやすい環境を整えることは、ワークライフバランスの推進に不可欠です。年次有給休暇の取得促進はもちろんのこと、夏季休暇や年末年始休暇などの長期休暇制度を充実させることで、従業員が心身ともにリフレッシュできる時間を確保します。また結婚休暇や忌引休暇など、従業員のライフイベントに対応した特別休暇制度も重要です。休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、休暇中の業務負担を軽減するための体制整備も必要です。

【年次有給休暇の取得促進】従業員が年次有給休暇を取得しやすい環境を作る。
【特別休暇の充実】結婚休暇、出産休暇、育児休暇、介護休暇など、様々なライフイベントに対応した特別休暇制度を導入する。
【リフレッシュ休暇制度】一定期間勤務した従業員に対して、リフレッシュのための休暇を付与する。

●育児・介護支援

従業員が安心して育児や介護と仕事を両立できる環境をつくる、さまざまな支援制度が存在します。育児休業制度や介護休業制度の利用促進のほか、短時間勤務制度や勤務地変更制度など、従業員の状況に応じた柔軟な働き方を支援する制度も重要です。また、企業内保育所の設置やベビーシッター費用の補助など、経済的な負担を軽減する制度も有効です。育児・介護に関する相談窓口を設け、従業員が安心して相談できる体制を整えるのもよいでしょう。

【育児休業制度】従業員が安心して子供を産み育てられる育児休業制度を導入する。
【介護休業制度】従業員が家族の介護を理由に休業を取得できる制度を導入する。
【企業内保育所の設置】従業員が安心して子供を預けられるように、企業内保育所を設置する。
【介護施設紹介サービスの利用】従業員が介護施設を探しやすくなるように、介護施設紹介サービスと提携する。

住宅補助や社内コミュニケーション活性化

上記以外にも、従業員の満足度と企業の魅力を高めるためのさまざまな福利厚生があります。従業員のニーズや企業文化などを考慮しながら独自の福利厚生制度を導入することで、従業員のモチベーション向上やエンゲージメント向上を図ることができます。

●社宅・家賃補助

従業員の住居費負担を軽減するために、社宅の提供や家賃補助を行う企業もあります。特に都市部で働く従業員にとっては大きなメリットとなり得ます。社宅や家賃補助は従業員の経済的な安定につながるだけでなく、通勤時間の短縮によるワークライフバランスの改善効果も期待できます。また従業員の住居に関する不安を解消することで、企業への定着率向上にもつながります。

●社員旅行・レクリエーション

従業員同士の交流を深めてモチベーションを高めるために、社員旅行やレクリエーションなどのイベントを開催する企業もあります。社員旅行では普段とは違う環境で従業員同士が親睦を深めることができます。レクリエーション活動を通じて従業員間のコミュニケーションを活性化し、チームワークを向上させる効果も期待できます。これらのイベントは従業員のストレス発散やリフレッシュにもつながり、企業へのエンゲージメント向上に貢献します。

●社内コミュニケーション活性化

従業員間のコミュニケーション活性化は組織全体の活性化や生産性向上につながるため、多くの企業が社内交流活性化のための取り組みを行っています。たとえば以下のような施策が有効的でしょう。これらの取り組みを通じて、従業員同士が気軽にコミュニケーションを取れる環境を作ることで、組織全体の活性化や一体感の醸成を目指します。

【コミュニケーションスペースの設置】従業員が休憩時間や仕事終わりに自由に交流できるスペース(オフィスカフェ・ラウンジ・社内バーなど)を設ける。
【社内イベントの開催】懇親会やスポーツ大会など、従業員同士が交流できるイベントを開催する。
【社内SNSの導入】業務に関する情報共有だけでなく、従業員同士のコミュニケーションツールとしても活用する。
【部活動・サークル活動の支援】従業員の共通の趣味や興味を通じて、コミュニケーションを促進する。

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執筆者「中川栞」の顔写真

執筆者 中川栞|株式会社スナックミー ライター・エディター

Web制作会社の管理職としてライターの指導・教育に従事したのち、株式会社スナックミーでコンテンツ制作を手掛ける、おやつライター兼エディター。安心・安全の「おやつ時間」の楽しみ方や、暮らしや職場におやつがある日々の豊かさ、福利厚生置き菓子の魅力を軸に、自社オウンドメディア『snaq.me magazine』の記事や商品パッケージのコピーライティングなどを担当。好きなおやつは『スナックミーのやさしいキャラメル』と『キングソロモンデーツ』。

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