健康経営優良法人とは?概要と注意点、取り組みのメリットをわかりやすく解説

2024/12/18

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健康経営のお手本となりうる優れた企業が選ばれ、経済産業省からお墨つきを得ることができる「健康経営優良法人」の認定制度。その基本情報や認定を受けるメリット、認定要件を満たすために何をするとよいか・どんなアクションが効果的かなどをご紹介します。

健康経営優良法人とは

健康経営優良法人とは、いわば国の行政機関(経済産業省)からホワイト企業のお墨つきを得たあかし。優れた健康経営を実践している企業を可視化することで、それらの企業が広く社会的評価・信頼を得られる環境をつくり、同時にさらなる健康経営の活性化を促すための施策です。

既定のフローに沿って申請し、さまざまな条件を満たすことで認定を受けられます。認定要件は秘匿されず項目ごとに明らかにされているため、取得に向けて具体的な対策を練ることができ、企業における労働環境改善におおいに役立ちます。

大企業・中小企業で部門と要件が異なる

企業の所属従業員数に準じて『大規模法人部門』『中小規模法人部門』の2つの部門のいずれかに振り分けられ、自社が属する部門の規定に沿って申請を行う必要があります。注意すべき点としては、これらの部門ごとに申請資格が異なるということ。

大規模法人部門の場合は、従業員の健康に関する取り組みについての調査(健康経営度調査)に回答すればそれがそのまま健康経営優良法人認定の審査にかけられますが、中小規模法人部門の場合は、そもそも自社が所属している保険者(全国健康保険協会および健康保険組合)が健康宣言事業を実施しており、それに参加する必要があります。加入保険者がどういった取り組みを実施しているか確認のうえその資格を満たすことができたら、公式ポータルサイトより健康経営優良法人認定申請書を作成・申請へと進めます。もし加入保険者が健康宣言事業を実施していない場合は、自治体が実施する同様の事業へ参加することで代替可能です。

さらに優れた『ホワイト500』と『ブライト500』

要件を満たして健康経営優良法人に認定された企業群のうち、検査結果の上位500に入る法人はさらに特別な称号を得ることができます。大規模法人部門の上位500法人は『ホワイト500』中小規模法人部門の上位500法人は『ブライト500』という称号が与えられます。ホワイト500・ブライト500ともに認定時に付与されるロゴマークも通常のものとは異なるデザインなので、より強く自社の社会的評価アップに役立てられます。なお大規模法人部門・中小規模法人部門それぞれの全認定法人数には数倍の差があるため(中小規模法人部門のほうが多い)、同じ上位500の証ではありますが母数が多い『ブライト500』のほうが難易度が高いといえるでしょう。

認定後も毎年の申請・更新が必要

健康経営優良法人の認定は永年継続するものではなく、一度認定を受けることができても、認定企業であり続けるためには毎年の申請⇒再認定取得が必要です。例年3月にその年の認定法人一覧が発表・公開され、その翌年の3月いっぱいまでの約1年間が認定期限(有効期限)に定められています。

法人の取り組みとはいえ、もとより健康はわたしたち生身の人間にまつわること。認定はあくまで付加価値ですし、一度環境を整えたからといってその効果が何年もの長きにわたり継続する保証はありません。企業と従業員がともに健やかなコンディションを保ち、心身の健康を脅かされることなく仕事に励める環境をつくるという本来の目的を見失わないようにしながら、一度認定を受けることができてからも、ぜひ取り組みを継続することをおすすめします。

健康経営優良法人のメリット・効果

りんごと、りんごを原材料に作られたドライフルーツのお菓子

晴れて認定を受けた法人は、定められた期間中、認定時に付与された公式ロゴマークの使用を許可されます。自社ホームページや紙媒体の配布資料、名刺などに掲載して広報活動に役立てることができるほかにも、認定企業は以下のようなさまざまなメリットを得られます。

企業・ブランドイメージの向上

健康経営優良法人の認定は決して一朝一夕に得られるものではありません。計画的に施策を検討・実施して行政から認められる成果を挙げていること、またそもそも自社の従業員の健康に投資する理念と姿勢があることは、大きな社会的イメージアップにつながります。特にビッグネームではない中小企業の場合、健康経営優良法人認定を受けているという前提のもと、新規取引先やクライアントにも好印象を持たれた状態で付き合いを始められるのはありがたいポイントです。新たなビジネス機会創出のチャンスに恵まれることもあるかもしれません。

金融機関や自治体からのインセンティブ

健康経営優良法人の認定企業は、国や公共団体、各種民間企業などによるさまざまなインセンティブを受けることができます。これは金利や融資の優遇措置が保証されるもので、たとえば地銀・信金による低利融資や運転資金の貸付利率引き下げ、保険商品の割引(保険料減額)、補助金申請時の加点といった恩恵が得られます。これにより資金調達の選択肢増加につながり、事業拡大のチャンスが増える場面もあることでしょう。

採用市場・人材獲得における有利化

求職者は企業の業種や職務内容、待遇だけでなく「会社が従業員の心身の健康を大切にしているか」を非常に重要視しています。健康経営優良法人であること、つまり従業員の健康に投資する姿勢をもつ企業であることは、新卒・中途問わず就職活動者への有効的なアピールポイントになり得ます。同業の競合が多く優秀な人材の取り合いが発生しやすい場合や、激務・過酷と称されやすいパブリックイメージが先行している業界の場合はとくに有効活用できるはず。

従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業の理念に共感したうえで愛着・忠誠を抱くことで生じる、事業への自発的な貢献意欲のこと。従業員と企業のつながりの強さともいえます。もとより健康経営の指標のひとつとして、従業員が心身ともに健やかにいきいきと働いている状態は非常に重要視されます。積極的な健康経営ならびに認定の取得は、従業員にとって「会社が自分たち労働者のことを大切にしてくれている」という安心感・信頼感の醸成に役立ち、優秀な人材の長期勤続離職率低下などの副次効果を得ることもできます。

業務生産性やモチベーションの向上

たとえ認定に至らなかったり、長い準備期間が必要になったとしても、そもそも健康経営へ取り組むこと自体が企業にとって非常に多くのメリットをもたらすものだという点を、人事・総務・管理部門の方は励みとして念頭に置かれるとよいでしょう。従業員の健康状態が良好な状態で保たれ、ワークライフバランス向上やハラスメント防止にも配慮が行き届いた労働環境は、業務の生産性・効率やモチベーション、組織としての団結力などあらゆるステータスの上昇が期待できます。従業員が突如心身の調子を崩してしまう危険性が低いと、長期事業計画やチャレンジングな取り組みにも挑戦しやすく、事業の前のめりな成長につながります。

健康経営優良法人のデメリット・注意点

スナックミーオフィスの置き菓子什器を囲み、従業員が打ち合わせを行う様子

経営者を含め組織全体で自分ごと化する

ただ経営層が示す指針のとおりに行動したり、人事・総務担当者だけが認定取得のために奔走している環境では、本質的な健康経営には結び付きません。組織全体で「なぜ健康経営優良法人の認定取得を目指すのか」「そのためにはどんなアクションが必要なのか」「アクションを起こすと、日々の労働環境には具体的にどんな変化が起こるのか」といった詳細をしっかり把握し、企業全体で取得に際する認識・熱意を揃えることが大切です。

長期継続可能・現実的な手段を講じる

一度取得した健康経営優良法人認定の有効期限はその年度内のみ。次年度も続けて取得するためには、短期集中的に施策を打つのではなく、今後永続的に機能させ続けられるアクションを行うことが重要です。初めて認定にチャレンジする際、初期費用やサポート料金が高額な法人向けサービスを意気込んで導入するといったケースもよくありますが、その後何年も継続して利用し続けられるコスト・規模感の施策を選ばなければなりません。

形骸化させず定期的に施策導入効果を測定する

たとえば運動機会創出につながる福利厚生(スポーツジム提携やオンラインヨガ講習など)を導入した場合は、その利用効果を正しく可視化する測定まで万全に行って初めて導入価値がわかります。「認定条件をクリアするための施策を取り入れたらそれで終わり」ではなく、その施策によって具体的にどのような健康改善効果が出ているか、従業員それぞれの利用率・継続率はどれくらいかを定期的にデータ化するのがおすすめです。

健康経営優良法人の取り組み事例

ノートパソコン、ミックスナッツの小皿、飲み物のグラスが並べられたテーブル

認定基準は大きく分けて【経営理念・方針/組織体制/制度・施策実行/評価・改善/法令遵守・リスクマネジメント】という5項目で構成されており、大規模法人部門・中小規模法人部門のそれぞれで細かな詳細が異なります。しかし重要な項目はおおむね共通しており、事業所の規模にかかわらず以下のような取り組みが求められます。必要に応じて取得支援サービス顧問社労士のアドバイスなども活用しながら、ひとつずつ取り組んでいきましょう。

ストレスチェックや産業医選任で健康課題を把握

企業に勤める従業員数が「50人」を超えるラインで、ストレスチェックや産業医選任についてのルールが課されます。ストレスチェックは労働安全衛生法によって定められた公の制度であり、従業員50人以上の事業場においては実施必須、50人未満の場合は任意の努力義務とされていますが、中小規模法人部門・大規模法人部門ともに「50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施」という評価項目が設けられているため積極的に実施するとよいでしょう。

同じく産業医についても、従業員50人以上の事業場においては1名以上(3,001人以上の事業場の場合は2名以上)の選任が義務化されています。50人未満の場合は義務ではありませんが、近隣医療機関などの外部機関を積極的に活用し、生活習慣病予防のための健康教室への参加地域産業保健センターによる長時間労働者への面接指導などを実施するのがおすすめです。

管理職をはじめとするヘルスリテラシー向上

ヘルスリテラシーとは、健康や医療に関する正しい情報をみずから入手し、理解して活用することで、適切な健康行動につなげる能力のことを指します。健康経営の舵取りは主に人事・総務スタッフの領域になることが多いですが、バックオフィス側(あるいは経営者側)からどんなに心身の健康促進を呼びかけても、現場で従業員を束ねる役割・権限を持つ管理職陣にその重要性が浸透していなくては意味がありません。発言影響力が高いリーダーポジションにある管理職メンバーの力を借りることで、いっそう効果的な取り組みを行うことができます。

具体的な施策としては、ウェルネスセミナーの受講機会提供、心身の健康状況に不安があるとき気軽に利用できる専門家窓口の案内、肩こりや腰痛緩和に役立つストレッチ動画の共有などが挙げられます。ただ健康によいものを提供するのではなく、従業員みずから健康促進の重要性を知る・選ぶ・理解する機会を提供することがかなめとなります。

ワークライフバランスの向上推進

一見健康とは関係のないもののように思えるかもしれませんが、ワークライフバランスの適正化は健康経営の一助となり得る重要な指標のひとつです。たとえば長時間労働の是正はQOL(生活・人生の質)を高めるだけでなく、ストレスや鬱状態の緩和、生活習慣病や慢性的な体調不良の防止、睡眠の質向上などさまざまなメリットを生み出します。

健康経営優良法人の認定要件においても「ワークライフバランスの推進/適切な働き方の実現に向けた取り組み」というチェック項目が設けられていますが、ワークライフバランスの適正化は従業員自身の意識改革(積極的な業務効率化をはかり残業時間を削減するなど)も必要とし、すぐに効果が出るものではありません。せっかく施策を練るならば「取り組んでいる」というステータスで止まらず、推進効果がきちんと出た状態を一日でも早く迎えられるよう、優先順位を高めて具体的な対応を始めてみましょう。

食生活改善・運動機会促進などの具体的な取り組み

健康経営の結果を得るためには、従業員にただ指標を示したり情報を与えたりするだけでなく、実際に食生活改善や運動機会促進に役立つコンテンツを提供するのが効果的です。ヘルシーで栄養バランスのとれた社食・お弁当の導入や、提携フィットネスジムの割引など、従業員個々人が利用できる福利厚生サービスを活用するとよいでしょう。

こういったコンテンツの提供を続けることで、おのずとプライベートの行動(私生活における栄養バランスや運動頻度など)にもよい影響がもたらされる効果も期待できます。とくにおいしい飲食品を通じた働きかけは、従業員も心理的負担や強制されている感覚を覚えることなくポジティブな気持ちで活用しやすいので、自社に合うものをぜひ導入してみてください。

メンタルヘルス不調防止のための職場活性化

すでにメンタルヘルスに不調・悩みを抱えている従業員のケア(外部専門家による相談窓口の案内/快復に向けての支援体制整備/勤務時間や業務内容の見直しなど)はもちろんのこと、新たな不調者を生み出さない・予備軍を悪化させないための取り組みも求められます。そのための施策として、日々のちょっとした悩みや困りごとを気軽に相談しやすい環境づくりを主旨とした職場のコミュニケーション活性化を目指すのがおすすめです。

適切なコミュニケーション文化が根づき、心のハードルが低い気軽な雑談が生まれやすい環境は、メンタルヘルス不調の早期発見にも大きく役立ちます。たとえば部署の垣根を超えて利用できるオフィスカフェコーナーを設けたり、会話のきっかけとなる置き菓子を導入したりと、社内導線整備や福利厚生サービスがささやかな起爆剤になることも。交流機会増加だけでなく、上司・部下あるいは経営者・従業員の組み合わせによる1on1定期実施、従業員間で機能するメンター制度導入なども効果的です。

助成金・アドバイザー・コンサルティングの活用

初めて認定申請に臨む際は、他社の取り組み事例を独自に参照するよりも、第三者機関から客観的なアドバイスを受けてみるとよいでしょう。経済産業省からの公式な受託のもと運用している「健康経営アドバイザー」や、産業医科大学産業保健経営学研究室の監修を受けた「健康経営コンサルティング」など、自社の健康状態・課題の可視化に役立つあらゆるサービスがあります。あるいは現在に至るまでの経営状況などをすでに把握している、いつもお世話になっている顧問社労士の意見を仰ぐのもおすすめです。

また、企業の健康経営には決して少なくないコストがかかるものですが、それを支える各種助成金制度が存在します。時間外労働削減時に役立つ「働き方改革推進支援助成金制度」、分煙設備の工事経費などをサポートしてくれる「受動喫煙防止対策助成金」、仕事と介護・育児の両立を助ける「両立支援等助成金」など種類はさまざま。自社に適用される助成金をかしこく活用し、一時的ではなく持続可能な体制を構築しましょう。

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執筆者「中川栞」の顔写真

執筆者 中川栞|株式会社スナックミー ライター・エディター

Web制作会社の管理職としてライターの指導・教育に従事したのち、株式会社スナックミーでコンテンツ制作を手掛ける、おやつライター兼エディター。安心・安全の「おやつ時間」の楽しみ方や、暮らしや職場におやつがある日々の豊かさ、福利厚生置き菓子の魅力を軸に、自社オウンドメディア『snaq.me magazine』の記事や商品パッケージのコピーライティングなどを担当。好きなおやつは『スナックミーのやさしいキャラメル』と『キングソロモンデーツ』。

※本サイトは、福利厚生の導入や運用に関する制度や実務面でのアドバイスを提供するものではありません。当社は本サイトの記載内容(事例を含む)の正確性や妥当性に努めておりますが、各企業の状況に応じて、専門家へのご相談やご自身の判断のもとでご利用いただきますようお願い申し上げます。

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