セクシャルハラスメント対策とは?概要と注意点、取り組みのメリットをわかりやすく解説

2025/4/22

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職場におけるセクシャルハラスメント(セクシュアルハラスメント/セクハラ)は、従業員の尊厳を脅かし、就業環境を大きく損なう深刻な問題です。近年では、性別や立場に関係なく誰もが被害者にも加害者にもなり得るという認識が広まりつつあります。法令でも事業主に対して防止措置の義務が明確に定められており、企業の対応姿勢が強く問われています。本記事では、企業に求められるセクシャルハラスメント対策の具体例を踏まえつつ、ハラスメント内容の定義・分類、判断基準などについて詳しく解説します。

セクシャルハラスメント対策とは

セクシャルハラスメントとは、労働者の意に反する性的な言動により精神的苦痛や職場環境の悪化などの被害が生じる行為を指し、事業主は男女雇用機会均等法第11条に基づき、職場におけるセクシャルハラスメントを防止するための措置を講じる義務があります。セクシャルハラスメントの行為者は上司や同僚だけでなく、後輩・部下・顧客・取引先など職場で関わるすべての人が該当する可能性があるほか、加害者および被害者の性別が「男性が加害者/女性が被害者」という構造に限定されない点にも留意が必要です。加害者の意図に関係なく「被害者が不快に感じたかどうか」が判断基準とされるのが特徴であり、企業にとっても法的責任・社会的評価の観点から、適切な対応が求められる重要な課題となります。

セクシャルハラスメントの主な分類

セクシャルハラスメントには、主に「対価型」と「環境型」の二つがあります。

●対価型セクシャルハラスメント

労働者が意に反する性的な言動を拒否したことを理由に、解雇・降格・配置転換などの不利益な扱いを受けるケースを指します。典型的な例としては、ある女性従業員が上司から「交際してくれたら昇進を考える」と繰り返し誘われ、それを断ったところ「チームの雰囲気を乱している」との理由で人事評価が下がり、最終的には関連性の薄い部署へ異動を命じられたケースです。

また別の事例では、性的な関係を強く拒否したことをきっかけに契約の更新を打ち切られた例も見られます。これらは労働者の人格と尊厳を侵害する重大な問題であり、企業にとっても法的責任が問われる深刻なハラスメント行為といえるでしょう。

●環境型セクシャルハラスメント

特定の性的な言動により職場の環境が不快な状態となり、業務への支障が生じるケースを指します。これは行為者の意図に関係なく被害者が精神的苦痛を感じ、就業意欲や集中力が著しく損なわれる状況が対象となります。

具体例としては、ある女性従業員が日常的に上司から容姿について「今日も色っぽいね」などと発言され、さらに飲み会の席では身体に触れられるなどの行為が続いた結果、出社前に頭痛や吐き気を覚えるようになった事案です。また、職場の共用スペースにわいせつなポスターが貼られていたことで、不快感を訴える従業員が出勤を避けるようになった例も確認されています。こうした行為は就業環境を著しく悪化させるものであり、企業にはその防止義務が課せられています。

セクシャルハラスメントに関する厚生労働省の指針

厚生労働省は、事業主が講じるべきセクシャルハラスメント対策について詳細な指針を定めています。この指針では単なる方針の掲示にとどまらず、実効性のある措置を講じることが求められています。例えば、相談窓口の明確な設置やプライバシーに配慮した相談対応体制の整備、社内での継続的な研修や啓発活動の実施が必要とされ、行為者に対する懲戒規定の整備や被害者への適切な配慮措置も企業に求められる義務の一部です。厚生労働省はこうした対策を企業ごとの実情に応じて継続的に改善することも強調しており、対応が不十分な場合には行政指導や企業名の公表といった措置が取られる可能性もあるため、形だけではない取り組みが強く求められます。

セクシャルハラスメント対策のメリット・効果

ノートパソコン、コーヒーカップ、お菓子の皿などが置かれたテーブル

企業イメージの信頼性向上

セクシャルハラスメントの防止は、企業が果たすべき社会的責任の一環といえます。適切な対策を講じることで、従業員や取引先、社会からの信頼を獲得しやすくなります。特に近年は、対応の甘さがSNSなどを通じて一気に拡散されて企業イメージの低下を招く事例も少なくありません。その一方で、透明性ある運用と継続的な取り組みを行う企業には、「安心して働ける」「信頼できる」といった好印象が定着します。こうした積み重ねがブランド価値の向上につながり、企業の持続的成長にも貢献するでしょう。

離職防止・人材定着の促進

セクシャルハラスメントが横行・放置されている職場では、従業員のモチベーションが低下して離職を選ぶケースが増加します。不安や不信感が積み重なれば職場への愛着や忠誠心が薄れ、組織への定着を妨げる要因となるためです。逆に、対策を徹底して安心して働ける環境を整えた企業では、人材の定着率が向上する傾向があります。実際にセクシャルハラスメント対策に積極的に取り組んだ企業で、女性従業員の復職率が高まり、勤続年数が延びたという報告も見られます。このような安定した職場環境は採用や再教育にかかるコストの削減にもつながり、経営上のメリットも大きくなるでしょう。

職場の生産性と業績の向上

セクシャルハラスメントのない職場環境は、従業員が精神的に安心し、自身の能力を十分に発揮できる土台となります。心理的な安全性が確保されていれば業務への集中力が高まり、チーム内での信頼や連携も自然と強まっていくでしょう。反対に、ハラスメントが存在する職場ではストレスや対立が日常化し、協力関係が損なわれる恐れがあります。こうした状況が長引けば、業務の停滞やミスの増加にもつながりかねません。対策が機能している職場では雰囲気が前向きに保たれるためコミュニケーションも円滑になり、結果として生産性の向上やサービス品質の改善が見込まれ、企業の業績にも好影響を与えることが期待されます。

法的リスクの回避とコスト削減

セクシャルハラスメントが発生した場合、企業は損害賠償請求や訴訟対応といった重大な法的リスクを抱えることになります。社内調査や関係者への対応には多大な時間と人手が必要となり、本来の業務にも支障をきたす恐れがあります。加えて、対応を誤れば企業の社会的評価にも悪影響を及ぼしかねません。こうした事態を未然に防ぐには、日頃から社内規程や指針を明文化し具体的な予防策を徹底しておくことが重要です。対策が制度として機能していれば問題の発生を抑えると同時に、対応にかかる時間的・経済的コストを大幅に削減することも可能です。リスクマネジメントの観点から見ても、セクシャルハラスメント対策は極めて費用対効果の高い取り組みといえるでしょう。

セクシャルハラスメント対策のデメリット・注意点

パソコンに向かって仕事をしながら、スナックミーオフィスのお菓子を食べる女性

対応の形骸化による信頼の失墜

セクシャルハラスメント対策は、方針を掲げるだけでは十分とはいえません。就業規則や社内ルールが整備されていても、実際に現場で運用されていなければ形骸化した対策として受け取られかねません。例えば年に一度の研修があるものの、受講者が受け身で内容も定型的というケースでは行動の変化にはつながりにくいでしょう。こうした実効性に欠ける取り組みが続けば、従業員の間に「会社は本気で対策をする気がない」という不信感が生まれます。結果として、相談の抑制や内部告発の減少といった問題にも発展しかねません。表面的な対応ではなく、継続的かつ実践的な取り組みこそが信頼回復の鍵になります。

相談窓口の機能不全

セクシャルハラスメントの防止において、相談窓口は極めて重要な役割を担います。しかし、形だけの設置にとどまってしまい実際には機能していないケースも少なくありません。例えば、窓口の担当者が加害者と近い関係にある場合や対応スキルが不足している場合は、被害者は相談をためらうようになります。さらに、窓口の存在自体が従業員に周知されていなければ利用される機会は当然ながら限られてしまいます。「相談しても何も変わらない」といった諦めの空気が広がれば、泣き寝入りするケースも増えるでしょう。その結果として問題は水面下にとどまり、職場全体の風通しも悪化していきます。信頼される窓口を機能させるためには、体制の見直しと継続的な周知が欠かせません。

受け止め方の違いと報復への不安がもたらす沈黙

セクシャルハラスメントに関するトラブルの多くは、加害者と被害者の間で受け止め方に大きな差があることが要因です。「冗談のつもりだった」「親しみを込めただけ」と加害者が思っていても、受け手が不快に感じればハラスメントに該当します。特に世代や性別による価値観の違いが、この認識ギャップを広げる背景にあります。
さらに、被害を受けたとしても告発をためらう要因の一つに報復への不安があります。上司に相談した結果として評価や人間関係に悪影響が出るのではないかと懸念し、声を上げられないケースも少なくありません。こうした状況が放置されれば職場全体に沈黙が広がり、ハラスメントが表面化しにくい体質を助長します。不利益な扱いを禁じる明確な規定と、組織としての毅然とした対応が不可欠です。

セクシャルハラスメント対策の取り組み事例

会議室でディスカッションする男性と女性

経営者による明確な意思表示

セクシャルハラスメントを根本から防止するには、経営トップの明確な意思と関与が不可欠です。「セクシャルハラスメントを許さない」という姿勢を組織の最上層から明言することで、従業員一人ひとりの意識にも大きな変化が生まれます。例えば社長や役員が社内報や全体朝礼で継続的にメッセージを発信することで、組織全体に問題意識が共有されやすくなります。言葉だけでなく実際に施策の立案や運用に関わる姿勢も重要です。経営者が対策を「自分ごと」として捉えている姿勢が見えれば、従業員の受け止め方も変わります。形式的な対応ではなく本気で取り組んでいると従業員に伝わることが、社内に対する最大の説得力となるのです。

社内ルールと教育研修の整備

セクシャルハラスメントの予防には、まず社内ルールの明文化が必要です。就業規則や従業員ハンドブックにおいて禁止行為や違反時の処分内容を明確に示すことで、全従業員が判断の基準を持てるようになります。ただし、規則を整えるだけでは不十分です。理解を深め行動につなげるには、研修による継続的な啓発が欠かせません。新入社員や管理職など階層別に合わせた内容で教育を行うと効果的です。また、事例を交えた実践的なプログラムを導入すれば日常業務に即した気づきを促すこともできます。制度と教育の両輪で取り組むことで、対策は形だけに終わらず職場にしっかり根づいていきます。

信頼できる相談体制の構築

セクシャルハラスメントを早期に把握し適切に対処するためには、従業員が安心して声を上げられる相談体制が必要です。窓口を一箇所に限定せず、性別や役職の異なる複数の担当者を用意することで相談しやすさが向上します。また、プライバシーへの配慮や相談内容の秘密保持も徹底しなければなりません。こうした基本的な要素が欠けていると、制度があっても利用されなくなる恐れがあります。さらに、外部の専門機関と連携した相談窓口を設置すれば中立性や信頼性も高まります。不利益な取り扱いがないことを明示し、必要に応じて処分や保護措置が取られる体制を構築することが重要です。相談のハードルを下げることで、組織全体の信頼感も強化されていきます。

迅速な事後対応と再発防止策の実施

セクシャルハラスメントが発生した場合には、迅速で公正な対応が求められます。まずは事実関係を客観的に調査し、被害者には状況に応じた保護措置を講じることが不可欠です。加害行為が確認された場合には、就業規則に基づき適切な懲戒処分を行う必要があります。対応が遅れたり曖昧であったりすると、被害者の信頼を損ないかねません。その後の再発防止策も重要なポイントです。関係する部署への再教育や、職場環境の改善を含めた取り組みが効果を発揮します。再発の兆しが見られる場合には、早期に対策を打つ柔軟さも求められます。誠実な事後対応と継続的な取り組みが企業全体の信頼を支え、健全な職場づくりにつながるのです。

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執筆者「中川栞」の顔写真

執筆者 中川栞|株式会社スナックミー ライター・エディター

Web制作会社の管理職としてライターの指導・教育に従事したのち、株式会社スナックミーでコンテンツ制作を手掛ける、おやつライター兼エディター。安心・安全の「おやつ時間」の楽しみ方や、暮らしや職場におやつがある日々の豊かさ、福利厚生置き菓子の魅力を軸に、自社オウンドメディア『snaq.me magazine』の記事や商品パッケージのコピーライティングなどを担当。好きなおやつは『スナックミーのやさしいキャラメル』と『キングソロモンデーツ』。

※本サイトは、福利厚生の導入や運用に関する制度や実務面でのアドバイスを提供するものではありません。当社は本サイトの記載内容(事例を含む)の正確性や妥当性に努めておりますが、各企業の状況に応じて、専門家へのご相談やご自身の判断のもとでご利用いただきますようお願い申し上げます。

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