第3の賃上げとは?概要と注意点、取り組みのメリットをわかりやすく解説

2024/12/23

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「第1の賃上げ」は勤続年数・年齢・業務成績など各社が定めた基準で行われる定期昇給のこと。「第2の賃上げ」は会社の業績などに応じて、社員全員を一律で昇給させるベースアップのこと。そしてこれらに続いて近年注目を浴びているのが「第3の賃上げ」です。その具体的な仕組みや取り組み例、導入時の注意点などをご紹介します。

第3の賃上げとは

第3の賃上げとは、福利厚生を活用して従業員の実質的な収入を増やす革新的な方法です。従来の賃上げとは異なり、非課税枠を活用することで企業・従業員の双方にメリットをもたらす新しい賃上げの形として、従業員満足度向上や定着率向上のために企業経営者や人事部門から注目されています。現金給与の増加ではなく、生活の質を向上させる間接的な支援に焦点を当てている点が重要なポイントです。

従来の賃上げ方法との違い

従来の賃上げ方法は従業員の手取り額を直接的に増やすものでしたが、この場合同時に税金や社会保険料の負担も増加してしまいます。一方第3の賃上げは福利厚生の拡充を通じて行われるもので、たとえば以下のような手段があります。

・住宅手当や通勤手当の見直し
・食事補助の導入または拡大
・育児介護支援の強化
・健康増進プログラムの提供

これらの福利厚生は従業員の生活に直接的な恩恵をもたらし、結果として実質的な収入増につながります。たとえば住宅手当が増額されれば、その分を家賃や住宅ローンの返済に充てることができ、手取り収入の増加と同様の効果が得られます。

第3の賃上げが生まれた背景

この新しい賃上げ概念が登場した背景には、少子高齢化による労働力不足や、多様な働き方の浸透などの労働市場の変化や、こういった労働環境の変化に対する税制度の不和などが挙げられます。第3の賃上げの最大の特徴は、非課税枠を巧みに活用していること。多くの福利厚生項目には一定の非課税枠が設定されているのですが、この非課税枠内で福利厚生を拡充することで、従業員は増税の影響を受けることなく実質的な収入増を享受できます。主な非課税枠の例としては以下などが挙げられます。

【通勤手当】月額15万円まで非課税
【食事補助】1食につき500円まで非課税
【住宅手当】一定の条件下で非課税

第3の賃上げのメリット・効果

デスクに並んで仕事をする従業員たち

従業員にとってのメリット

福利厚生を活用した第3の賃上げは従業員に多くの恩恵をもたらし、単なる給与増加とは異なり生活の質も向上させる効果があります。たとえば以下などの利点が期待できます。

●手取り収入の増加

従来の賃上げと比べ第3の賃上げは税制上の優遇措置を受けやすいため、手取り額の増加率が高くなります。たとえば住宅手当や通勤手当の拡充は、所得税や社会保険料の計算対象外となる場合があり、実質的な収入増につながります。

●生活の質の向上

福利厚生の充実を通じて、従業員の日常生活を直接サポートすることができるため、以下のような副次効果が得られます。これらの支援により、従業員は仕事以外の生活面でも充実感を得られ、ワークライフバランスの向上につながる効果も期待できます。

・住居費(家賃やローン返済額)の負担軽減
・通勤ストレスの緩和
・健康管理のサポート
・家族との時間の確保

●キャリア開発の機会

第3の賃上げには自己啓発支援などの教育プログラムも含まれることがあります。これにより、従業員は新しいスキルや資格を取得したりする機会を得られます。キャリアアップの可能性が広がり、長期的な収入増加につながることもあるでしょう。

企業にとってのメリット

第3の賃上げは従業員だけでなく企業側にも大きなメリットをもたらします。人材戦略や財務面での利点が多く、企業の持続的な成長を支える重要な施策となり得ます。

●人材確保・定着率の向上

魅力的な福利厚生制度は優秀な人材を引きつけ、長期的に維持する強力な武器となります。特に以下の点で効果を発揮し、採用コストの削減や組織の安定化が図れ、企業の持続的な成長につながります。

・採用市場での競争力強化
・従業員の帰属意識向上
・離職率の低下

●生産性の向上

充実した福利厚生は従業員のモチベーションや健康状態の改善につながり、結果として生産性の向上をもたらします。たとえば以下のような変化が期待でき、企業全体のパフォーマンス向上につながります。

・欠勤率の低下
・業務効率の改善
・創造性や革新性の促進

●企業イメージの向上

従業員を大切にする企業として認知されることで社会的評価が高まり、結果として企業ブランドの価値向上や、ビジネスチャンスの拡大につながる可能性があります。

・顧客からの信頼度向上
・取引先との関係強化
・投資家からの評価向上

社会全体へのメリット

第3の賃上げの概念と活用価値が広く普及し、各社によって適切に活用されると、個々の企業や従業員を超えて社会全体にもいい影響が及ぼされます。

●経済の活性化

従業員の実質的な可処分所得が増えることで、消費が活発化し、経済の好循環につながります。

●社会保障制度の持続可能性向上

福利厚生の充実により個人の生活基盤が強化されることで、公的な社会保障制度への依存度が低下が期待できます。これは長期的に見て、社会保障制度の持続可能性向上につながり得るものです。

●働き方改革の推進

第3の賃上げは多様な働き方を支援する福利厚生の導入を促進します。これにより、ワークライフバランスの改善や人材の活躍の場が広がり、社会全体の生産性向上につながります。

第3の賃上げのデメリット・注意点

パソコンのそばに置かれたドリンクとお菓子

第3の賃上げを実施・導入する際にはいくつかの重要な注意点があります。これらを押さえることで、より効果的かつ円滑な制度の導入が可能となります。

従業員のニーズを正しく把握する

福利厚生を通じた賃上げを成功させるためには、従業員のニーズを正確に把握することが不可欠です。経済状況にどのような不安があり、どういったサービスの拡充を求めるのかといったリアルな声を把握することで、従業員からの支持を得られる的確な第3の賃上げ実現へとつながります。

従業員の声を直接聞くためにアンケート調査は非常に有効です。「賛成/反対」などの二極化した設問ではなく、匿名性を保ちながら、具体的な意見や希望を述べてもらえるような問いかけの工夫が必要です。より詳細なニーズを把握するため、人事部門や管理職による個別面談を行うのもよいでしょう。従業員一人ひとりの生活状況や将来の希望を聞き取ることで、的確な制度設計につながります。

法令遵守と税務上の留意点を抑える

福利厚生の拡充にはさまざまな法律や税制が関係し、福利厚生の拡充が労働基準法に抵触しないよう注意が必要です。特に、すでに支給されている残業代の削減や労働時間の延長につながるような施策は避ける必要があります。

また、福利厚生の中には非課税となるものと課税対象となるものがあります。たとえば一定額以下の通勤手当は非課税ですが、それを超える部分は課税対象となるため、税理士や社会保険労務士に相談の上適切な制度設計を行うことが求められます。

制度設計と運用の重要性を理解する

第3の賃上げを成功させるためには、ただ効果のありそうな福利厚生サービスを導入するだけでなく、以下のような点を考慮した上、綿密な制度設計と適切な運用が欠かせません。

●明確な基準の設定

福利厚生の適用基準を明確にすることが重要です。誰がどのような条件で利用できるのか、細かく規定しておくことで、従業員間の不公平感を防ぐことができます。

●柔軟な制度設計

従業員のライフステージや価値観は多様化しています。そのため一律の制度ではなく、選択型福利厚生制度(カフェテリアプラン)の導入も検討に値します。従業員が自身のニーズに合わせて福利厚生メニューを選べるようにすることにより、満足度の向上につながります。

●制度の意義と効果の説明

導入予定の福利厚生が、どのような意図で、従業員にとってどのようなメリットがあるのか、第3の賃上げとしてどう機能し得るのかなどをわかりやすく説明することが重要です。

●利用促進のための情報提供

制度を導入しても、従業員が十分に活用しなければ意味がありません。利用方法や具体的なメリットについて定期的に情報を発信することで、多くの従業員に利用されやすくなります。社内報や社内SNSなどの活用も効果的です。

導入後のフォローアップを欠かさない

第3の賃上げにつながる施策の導入後は継続的なフォローアップが必要です。以下のようなポイントを考慮し、継続的な運用支援を行うことが重要です。

●利用状況の把握・見直し

導入した福利厚生制度がどの程度利用されているか定期的に調査し、利用率の低い制度があればその原因を分析し、必要に応じて改善することが大切です。少なくとも年に一度は制度の効果を検証し、従業員の声を聞く機会を設けましょう。

●従業員満足度調査の実施

制度導入後の従業員満足度を定期的に調査することで、第3の賃上げの効果を客観的に評価できます。満足度調査の結果をもとに、さらなる制度の改善や新たな施策の検討へとつながります。

●経営指標との連動

経営指標と連動させ、第3の賃上げが企業にどのような効果を与えるか評価することも重要です。たとえば従業員の定着率や生産性の向上などから、効果の測定・検証が可能です。

実現に向けたいくつかの課題

このようにさまざまな可能性を持つ第3の賃上げにも、推進するにあたっていくつかの課題も存在します。これらを克服することでより効果的な制度設計が可能となります。

●法制度の整備

現行の労働法制では、一部の福利厚生が給与として扱われる可能性があります。第3の賃上げを推進するには、法制度の見直しや柔軟な解釈が必要となるでしょう。政府や経済団体との連携が求められます。

●公平性の確保

スタッフの状況によって求められるサービスはさまざま。従業員間で福利厚生の恩恵に差が出ないよう、公平性を担保する制度設計が重要です。たとえば選択自由度の高いカフェテリアプランの導入により、従業員が自身のニーズに合わせてメニューを選べるようにする方法があります。

●コスト管理と効果測定

第3の賃上げは、企業にとって新たなコスト負担となります。その効果を適切に測定し、投資対効果を明確化する必要があります。従業員満足度調査や離職率の変化など、多角的な指標を用いた効果測定が求められるでしょう。

第3の賃上げの取り組み事例

住宅手当の拡充

住宅手当は第3の賃上げの代表例です。従業員の家賃負担を軽減することで、実質的な収入増加につながります。家賃補助の増額/対象範囲の拡大/住宅ローン返済支援などの施策によって従業員は住居費の負担が減り、生活の質が向上。企業側も人材の定着率向上や優秀な人材の確保につながるメリットがあります。

食事補助の導入

従業員にとってはできる限り節約したい、仕事中の食事代・ランチ代。それらの費用をサポートする食事補助も効果的な第3の賃上げ方法です。食生活改善や欠食防止、社内コミュニケーション活性化などにも役立ち、従業員の健康維持と経済的負担軽減を同時に実現できます。

●社員食堂やオフィスコンビニの充実

栄養バランスの取れたお弁当やお惣菜、手軽な冷凍パンや軽食を低価格で提供することで、従業員の健康管理と経済的支援を両立します。「社員食堂」と聞くと文字通り食堂形態の飲食施設を思い浮かべる方も多いかと思いますが、近年では食堂形態以外でも、低予算&省スペースで運営できるさまざまな社食の福利厚生サービスが流通しています。

●食事手当・ランチ手当の支給

現金支給ではなく、電子マネーやミールチケット、ポイントチャージ制の専用アプリなどを活用することで非課税枠を最大限に活用できます。対象店舗を健康的な食事を提供する飲食店に限定すれば、従業員の健康増進にも寄与することが可能です。

通勤手当の見直し

通勤手当の見直しは、従業員の負担軽減と環境への配慮を両立させる第3の賃上げ方法です。

●実費支給への変更

定額支給から実費支給に変更することで、遠方からの通勤者への支援を強化できます。同時に近距離通勤者には自転車通勤手当・徒歩通勤手当などを新設するといった、環境にも配慮できる通勤スタイルを奨励する施策も効果的です。

●フレックスタイム制との連携

従業員が始業・終業時刻を自由に調整できるフレックスタイム制を導入して、オフピーク通勤を奨励することで、通勤ストレスの軽減と交通費の削減を同時に実現できます。

育児・介護支援の強化

育児・介護支援を強化することで、従業員のワークライフバランスの向上を叶えながら企業の人材確保や離職率低下にもつながる効果を得られます。

●保育サービスの拡充

企業内保育所の設置や外部保育サービスとの提携により、従業員の子育て支援を強化できます。延長保育や病児保育のサポートも、働く親にとって大きな支援となります。

●介護サポートの導入

介護休暇の拡充や、介護サービス利用料の補助など、従業員の介護負担を軽減する施策を導入することで、中堅~ベテラン社員の離職防止につながります。

健康増進プログラムの実施

従業員の健康維持・増進は、生産性向上と医療費抑制の両面で効果があります。

●フィットネスジム利用補助

契約スポーツジム施設の利用料補助や、社内ジムの設置により、従業員の健康増進をサポート。運動習慣の定着は医療費削減にもつながる長期的な投資となります。

●健康診断の充実

法定健診に加えがん検診や人間ドック、婦人科検診の受診料を補助することで、従業員の健康管理を強化します。早期発見・早期治療による長期的な医療費抑制効果も期待できます。

自己啓発支援の拡大

従業員のスキルアップ支援は、個人の成長と企業の競争力強化につながります。

●資格取得支援制度

業務に関連する資格の取得費用を補助することで、従業員のモチベーション向上と専門性の強化を図ります。合格奨励金の支給も効果的です。

●オンライン学習プラットフォームの提供

セミナーやeラーニングを受講・利用できるオンライン学習サービスの法人契約により、時間や場所の制約なく従業員が自己啓発に取り組める環境が整います。

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執筆者「山本瑠奈」の顔写真

執筆者 山本瑠奈|株式会社スナックミー カスタマーサポート

百貨店デザイナーズブランド勤務やコールセンター勤務を経て、株式会社スナックミーでお客さまとのコミュニケーション窓口を担うカスタマーサポート担当。個人・法人のユーザーさまが安心してスナックミーをご利用いただけるよう、お困りごとに真摯に向き合うかたわらで、課題解決に役立つ「よくある質問」コンテンツの編集・更新や「福利厚生用語集」の作成も対応中。好きなおやつは『もっちりさつまいもバター餅』と『米粉パスタスナック』。

監修者「中川栞」の顔写真

監修者 中川栞|株式会社スナックミー ライター・エディター

Web制作会社の管理職としてライターの指導・教育に従事したのち、株式会社スナックミーでコンテンツ制作を手掛ける、おやつライター兼エディター。安心・安全の「おやつ時間」の楽しみ方や、暮らしや職場におやつがある日々の豊かさ、福利厚生置き菓子の魅力を軸に、自社オウンドメディア『snaq.me magazine』の記事や商品パッケージのコピーライティングなどを担当。好きなおやつは『スナックミーのやさしいキャラメル』と『キングソロモンデーツ』。

※本サイトは、福利厚生の導入や運用に関する制度や実務面でのアドバイスを提供するものではありません。当社は本サイトの記載内容(事例を含む)の正確性や妥当性に努めておりますが、各企業の状況に応じて、専門家へのご相談やご自身の判断のもとでご利用いただきますようお願い申し上げます。

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